今 まで色々と胃・十二指腸潰瘍の治療が行われてきましたが、再発を繰り返す等、なかなか治りづらく、長期間にわたり薬を飲み続けなければなりませんでした。 しかし、近年、胃の中に「ヘリコバクター・ピロリ」という細菌の存在が明らかとなり、このヘリコバクター・ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍等と深く関係してい ることも分かってきました。

1970 年代には胃酸の分泌を抑える薬と胃壁や十二指腸壁を被っている粘膜を保護する薬の併用が行われていましたが、まだまだ外科的治療が主でありました。80年 代にはさらに優れた胃酸の分泌を抑える薬の開発により、潰瘍をなおすことが出来るようになり、外科的治療は著しく減りましたが、なかなか潰瘍の再発を抑え ることが出来ませんでした。薬を併用すると数日で症状は消えますが、薬を飲むのを止めると、痛みだけではなく出血して血を吐いたり、真っ黒な便が出たりし て、症状が悪化する場合もあります。
そこで90年代に入ってからは、これからお話するヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法により、潰瘍の再発を抑えることが可能となってきました。


粘膜の表面や細胞の間にすむ

ヘリコバクター・ピロリ菌
ピロリ菌とは

■ 命名の由来は?
ヘリコバクター・ピロリ菌の名前の由来は、らせん形(ヘリコ)の細菌(バクテリア)が、胃の幽門(ピロルス)周辺に好んで住み着くことから、この名がつきました。


■ どこにいるのか?
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の中に生息している細菌です。胃の粘膜を被っている粘膜層内にもぐり込んで粘膜の表面にくっついたり、粘膜の細胞の間に入り込んだりして、強い酸性の胃の中でも生息、増殖しています。


■ どんな悪いことをするのか?
胃の壁を傷つけ、胃を守っている粘液を減らし、胃酸の攻撃を受けやすくしてしまうので、胃炎や消化性潰瘍を発症させる要因になっています。


■ どの位の人が持っているのか?
40代以上の日本人の70~80%がピロリ菌に感染しているといわれています。胃潰瘍患者の65~80%程度、十二指腸潰瘍患者の90%程度の胃の中にいることが分かっています。

検 査

以前から行われている内視鏡(胃カメラ)を使い採取した胃の粘膜の組織を調べる検査、より簡便な方法として最近では血液や尿を採取して行う抗体検査、呼気を集めて調べる尿素呼気試験があります。
治 療

も しヘリコバクター・ピロリ菌が見つかったら、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を合わせた3剤を1週間服用することにより、除菌する治療法がありま す。服用期間中は絶対に禁酒になります。以前はこの治療法は保険の適用がありませんでしたが、現在では保険による治療が受けられるようになりました。約 90%の患者さんは除菌出来ます。定期的に検査を行い、完全な除菌と潰瘍が無いことが確認されれば治療は終了します。さらに除菌療法とは別に、胃酸の分泌 を抑える薬を服用して、潰瘍の治療を行う場合もあります。
トピックス

抗生物質には耐性菌の問題があり、また潰瘍にはならないがヘリコバクター・ピロリ菌の保菌者もずいぶんと多いようです。そこで最近では乳酸菌によるヘリコバクター・ピロリ菌を減らす方法も研究されているようです。
乳 酸菌の中でLG21というものがあり、それから産生される乳酸がヘリコバクター・ピロリ菌に対して殺菌効果を発揮するようですが、まだどのように働くかは 不明です。LG21乳酸菌入りヨーグルトも販売されてますので、ご存知の方もおられるかと思います。健康維持のために食されてみてもいかがなものでしょう か。

ヘ リコバクター・ピロリ菌に感染しても潰瘍になる人は、感染者全体の2~3%といわれています。胃・十二指腸潰瘍は再発を繰り返しますが、除菌治療等を行え ば、潰瘍の再発がほとんど起こらないことが明らかになっています。胃・十二指腸潰瘍が再発を繰り返すような方はかかりつけの医師や専門医にご相談されるこ とをおすすめします。





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