膵炎(すいえん)はアルコールの飲み過ぎで起こるケースが多く、最近増加傾向にあります。飲酒習慣や食生活といった生活習慣を修正するなど、自分の努力によって予防や再発の防止が可能です。

膵臓(すいぞう)は、胃のちょうど裏側にある長さ15cm位の小さな臓器で、血糖値を正常に保つ内分泌機能、食べたものを消化する消化液(膵液)を分泌する 外分泌機能の2つの働きがあります。膵炎の発症には特に外分泌機能が関係しています。膵炎は、膵臓に炎症が起こり痛みなどが生じる病気で大きく「急性膵 炎」と「慢性膵炎」に分けられます。「急性膵炎が慢性化して慢性膵炎になる」と思われがちですが、両者は全く別の病気です。起こり方に違いはありますが、どちらもアルコールの飲み過ぎで起こることが多いという点では共通しています。(まれに急性膵炎によって膵臓の構造が変わり、その結果慢性膵炎を引き起こすことはあります。)


急性膵炎は
過食・アルコールの飲み過ぎ・胆石症な どが原因で起こります。食べ過ぎると食べ物を消化するために、膵液の分泌が盛んになり膵液が溜まったり、アルコールを飲み過ぎると膵臓が刺激されて膵液の分泌が増えたり、浮腫(むくみ)が生じ膵管が狭くなって流れにくくなったりします。以上のような原因で、膵臓の中に膵液が溜まったとこへ膵管を逆流してき た胆汁が混じると、膵液が活性化され膵臓内で消化力を発揮してしまいます。膵液にはたんぱく質を分解する消化酵素(トリプシン)が含まれるので、膵臓自体 が消化され(自己消化)、膵臓の細胞が溶けて炎症が起こります。
症 状

急性膵炎の多くは暴飲暴食した後に起こるため、夜中に突然起こります。
上腹部の激しい痛みが典型ですが背中や腰の痛み腹部全体の痛みを伴うこともあります。急性膵炎の痛みは和らぐことなく次第に強くなる激痛で、多くは吐き気や嘔吐を伴います。重症の場合では意識障害や多臓器不全などのショック症状が起きることもあります。
治 療
食物を摂ると消化酵素の分泌を促進するため、絶食、絶飲します。
必要な栄養や水分を輸液(点滴)によって補います。
たんぱく分解酵素阻害薬、鎮痛薬なども点滴によって投与します。
急 性膵炎は、一過性なので治療によって症状が治まれば、膵臓にはほとんど障害は残りません。しかし重症化するといろいろな臓器の機能不全が同時に起こってく るので全身を管理し集中治療のできる医療施設で治療を受ける必要があります。状況によっては膵臓の一部を切除したり壊死組織を取り除いたり胆のう摘出など 外科的治療も行われます。
日常の注意
食べ過ぎやお酒の飲み過ぎを慎み、
1週間に1日は禁酒日をつくりましょう。
胆石症や高脂血症がある場合はその治療を受けましょう。


慢性膵炎は男性に大変多く約80%は30~50才代の男生と考えられています。一定量以上のアルコール(日本酒で約3合以上)を10年、20年と毎日習慣的 に飲み続けていると膵臓に負担がかかり慢性膵炎を起こしやすくなります。アルコール単独で起こるというより食生活など他の要因が加わって発症すると考えら れています。例えばたんぱく質や脂肪の多い食べ物などを食べることによって膵液の分泌が多くなり過ぎて起こるということもあります。慢性膵炎は、長期間に わたり炎症が繰り返し起こり膵臓の正常な細胞が徐々に破壊されていきます。炎症が続く間に繊維化や石灰化が起こり膵臓が硬くなります。このように破壊され た膵臓の組織は元には戻りません。また、繊維化に伴って膵管にカルシウムが沈着して「膵石症」になることもあります。アルコールばかりでなく、「特発性」 と言われる原因不明のものや、胆石症、家族性高脂血症などが原因で起こる慢性膵炎もあります。

症 状

上腹部に重苦しい、鈍い痛み
が現れます。急性膵炎のように激しい痛みではありませんが背中に痛みが広がることもあります。また脂肪を分解する酵素は膵液にしか含まれていないため脂肪をうまく消化できなくなり、そのため消化不良の下痢になります。また栄養の吸収が悪くなるため体重減少が起きます。さらに進行すると糖尿病を合併することもあります。
治 療

慢性膵炎では、障害された組織は治療をしても元には戻らないため病気の進行を抑えることに治療の目的が置かれます。

最も大切なことは禁酒です。お酒をやめると腹痛などが治まってきます。
脂肪の摂り過ぎも注意が必要です。
総合消化酵素薬、たんぱく分解酵素阻害薬、整腸薬などの薬物治療も一緒に行われます。
糖尿病を合併している場合は、その治療もします。
日常の注意
節酒ではなく絶対的な禁酒と禁煙が大切です。
食べ過ぎると胃が刺激され膵液の分泌が促されるため
食事は常に腹八分目を心がけましょう。
炭酸飲料やカフェイン飲料のような刺激物の飲み過ぎにも注意が必要です。
食事の内容を改善することも必要です。脂肪の少ない消化のよい和食中心の食事にすると良いでしょう。
も し「腹痛」が起きたら受診して原因を調べてもらうことが大切です。腹痛は「膵炎」だけでなく、いろいろな病気の警戒信号です。食生活にも気をつけ暴飲暴食 を避ける生活習慣を身につけることが重要です。特に酒量の多い人は40才を過ぎたら、少なくても年1回は健康診断を受けましょう。





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