現代は、豊かな食生活や車社会による運動不足などから、糖尿病の患者さんが急増しています。糖尿病を強く疑われる人が690万人、糖尿病の可能性を否定できない人が680万人、合計すると1370万人。このうち入院・通院している患者はわずか218万人(平成8年厚生省調べ)と言われています。
糖尿病は膵臓から血液中にかけて分泌されるインスリンの働きが悪くなる病気です。インスリンは、糖分(栄養)を代謝して、エネルギーとして細胞が上手く利用できるようにするホルモンです。ですから、インスリンが不足すると、筋肉などの細胞が栄養素を上手く利用できなくなり、栄養不足、エネルギー不足になります。
一方、利用されなかった糖、脂肪などの栄養素は、血液中に貯まり、高血糖(血糖の正常値100mg/dl程度、糖尿病では140mg/dl以上)や、高脂質血症を起こします。この状態が長く続くと、血管や細胞に悪影響を及ぼし、色々な合併症を起こします。
糖尿病には次の2つのタイプがあります。

  1. インスリン依存型
    膵臓の細胞がウィルスなどで破壊され、
    インスリンを作ることができない。
    治療にはインスリン注射が必要。
    小児や若年期に発病し、数は少なく糖尿病患者の1%以下

  2. インスリン非依存型
    生まれつきインスリン分泌が不十分であったり、肥満や過食、
    運動不足、ストレスなどが原因でインスリンの働きが悪い。
    治療は、経口血糖降下剤の服用やインスリン注射を行う。
    中年期以降に発病し、糖尿病患者の9割以上がこのタイプ。

初めは自覚症状は殆どありません。高血糖と尿糖が検査で見つかるだけです。少し進むと、
  • 疲れやすい・体重減少
    細胞の栄養不足のため
  • のどの渇きや多尿
    大量に糖を含んだ血液中へ細胞の水分がどんどん引っぱられ、体全体が脱水状態になります。そのためよく水を飲むようになり多尿になります。
さらに進むと、血液は、糖のために粘りを帯び、固まりやすく、血液の流れも悪くなり、色々な合併症が起こります。
主なものに
  • 眼底出血の繰り返しで起こる視力低下や網膜症による失明
  • 腎臓障害による尿タンパクやむくみ、糖尿病腎症
  • 末梢神経障害による神経痛やしびれ、
    下痢、便秘、尿失禁、起立性低血圧など
  • 脳血栓、心筋梗塞、狭心症や足の壊疽など

治療と予防

糖尿病の治療の根本は、血糖を正常近くにコントロールすることです。


1.食事療法医師や栄養士に指示された適正エネルギー量を守り、栄養バランスを十分に考えた食事をとる。
2.運動療法毎日30〜60分、手を振ってさっさと歩くのを標準とする。
3.薬物療法食事や運動療法でコントロール不十分な時は医師の指示によって、経口血糖降下剤の服用やインスリンの注射をする。

上記の食事療法や運動療法の内容は、予防法とも言えます。ストレスなどにも注意が必要です。また、血圧の高い状態が続くと、インスリンの働きが悪くなるので、高血圧にも十分気をつけることが大切です。

糖尿病は、早期発見が大切です。年に1回の定期検診でも十分ですので、中年をすぎたら、血糖や尿糖の検査を受けると良いでしょう。

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