日本人にはカルシウムが不足しています。
カルシウム不足がもたらす病気の中で最も多いのが骨粗鬆症です。現在、その患者さんは約500万人と言われています。

骨は、主にカルシウムとたん白質で出来ていて、体を支える役割の他に、カルシウムの貯蔵庫としての大切な役目を果たしています。
小児期から壮年期にかけて骨は盛んに作られ、大きくなります。骨の量が最も増えるのは35才頃で、その後は骨が作られる量よりも壊される量が多くなります。
少しずつ骨が減っていくのは老化現象で、ある程度は仕方がありません。しかし、急速に骨が減少した場合、骨の中のカルシウムが抜け、骨に穴がたくさん出来て、ちょうど大根に「鬆(す)」が入ったような状態になります。これが、骨粗鬆症です。
最初、背中や腰などに鈍い痛みやだるさを感じます。進行すると背中や腰が曲がり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根、背骨などを骨折したりします。また、卵巣から分泌される卵胞ホルモンは、骨からカルシウムが抜けていくのを防ぐ働きがあるのですが、更年期以後はこのホルモンの分泌が低下するため、骨粗鬆症は閉経後の女性に多く見られます。

  1. カルシウム摂取量の不足
  2. ビタミンDの不足
    ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促します。
  3. 運動不足
  4. 閉経
  5. アルコールの摂り過ぎ
    アルコールには、カルシウムの吸収を抑える作用があります。
  6. 遺伝的なもの

    などがあります。
治療と予防

カルシウムの多い食事を摂る
現在、1日に600mgのカルシウムを摂ることが勧められていますが、予防のためにも800〜1000mg摂ることが望まれます。また、カルシウムは一度にたくさん摂るよりも、何回かに分けて摂った方が吸収は良くなります。


《カルシウムの多い食品》
● 牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品
● 小魚
● ブロッコリー、小松菜などの野菜
● ごま、豆腐など

※牛乳には200cc中、200mgのカルシウムが含まれ、供給源としては手軽ですが高齢になると、牛乳の多飲は腎臓に負担をかけるので、1日に400cc位にしてあとはその他の食品で補うと良いでしょう。

日光浴をする
紫外線に当たると、皮下のビタミンDのもとになる物質が、ビタミンDに変わります。
適度な運動をする
運動をすると、その刺激が骨に伝わり、骨をつくる細胞が活発になって、カルシウムの吸収や蓄積を促します。
良質のたん白質を摂る
たん白質は、骨の重要な成分です。また、カルシウムの吸収を助けます。しかし、摂り過ぎると逆にカルシウムの排泄を促してしまいます。牛乳は、カルシウムと共にたん白質も多く含んでいますので、多飲には注意が必要です。


《たん白質の多い食品》
● 牛乳やチーズなどの乳製品
● 納豆や豆腐などの豆製品
● 卵など
インスタント食品などの加工食品を摂り過ぎないようにする
加工食品などには、リン酸が添加されています。リン酸には、骨からカルシウムを取り出すように命令するホルモンの分泌を促す作用があります。
無理なダイエットはしない
成長期、特に思春期は(女性は特に初潮後2年間)骨がどんどん形成され、カルシウムは20〜30才代に一番骨に蓄積されます。若い女性は特に、無理なダイエットなどせず、カルシウムをしっかり摂り、骨量を最大に高めておく必要があります。

治療薬には、カルシウム剤、活性型ビタミンD剤、ホルモン注射などがあり、症状に応じて適切な薬が処方されます。
活性型ビタミンD剤は、カルシウムが骨に取り込まれるのを促し、現在、骨粗鬆症の治療薬として最も多く使われています。

以前は、骨粗鬆症になると、減ってしまった骨は増えることはないと思われていました。しかし、現在では以上のような食事や運動、薬などで治療することによって、骨の量が増加することが分かってきました。薬は、医師の指示に従って服用し、根気良く治療を続けることが大切です。

痛風 狭心症


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