近年、若い世代の「一気飲み」などで死亡するという事故が増え、社会問題になっています。
アルコールは、胃や腸(主に小腸)で吸収された後、肝臓で分解されます。しかし、アルコールの量が多過ぎるとこの分解処理が追いつかなくなり、結局、肝臓からあふれ出たアルコールが血液の中を通って体を巡り、脳の中枢神経を麻痺させます。これが「酔い」の状態です。急性アルコール中毒と言うのは、「一気飲み」などで代表されるような、比較的短時間に血液中のアルコール濃度が急激に高くなる「酔いの極限状態」です。脳に強い影響を与え、最悪の場合は呼吸不全で死に陥ることもあります。

自分で立てない、人が立たせようとしても立たない、酔いつぶれたまま吐いている、短時間で酔いつぶれている、声をかけたり顔を叩いても反応が鈍い状態 〜血中アルコール濃度200mg/dl以上〜 ですと、急性アルコール中毒と考えてよいでしょう。

このような場合、
次のことに注意しなければいけません。
  1. 嘔吐物による窒息
  2. 昏睡状態からやがておこる呼吸麻痺
  3. 転倒によるケガ、特に頭部の打撲
  4. 空腹が原因で起こるアルコール性低血糖の危険性
    空腹で大酒を飲むと極度の低血糖になり、脳の障害が起こり脳死や植物状態になることがあります。
看護方法

急性アルコール中毒が疑われる時は、すぐに病院へ運ぶ必要があります。
応急処置として、

  • 嘔吐物が喉に詰まらないように頭を低くし体を横向きにする。
  • 嘔吐物が喉に詰まっているような時は指で口の中の物をかき出す。
基本的に、反応が鈍いような時は危険なので救急車を呼んで下さい。
アルコール血中濃度と酩酊の関係
  • 0.02〜0.04%〜1合(日本酒)
    気分が爽やか陽気皮膚紅潮判断力がやや鈍くなる
  • 0.05〜0.1%1〜2合
    ほろ酔い気分動きが活発抑制がとれる体温上昇頻脈
  • 0.11〜0.15%3合
    気が大きく大声になる怒りっぽくなるふらつく
    翌日、昨夜のことを思い出せない「記憶障害」が起こる

  • 0.16〜0.3%5合
    千鳥足繰り返し同じことを言う呼吸促進吐き気
  • 0.31〜0.4%7合〜10合
    まともに立てない言語支離滅裂意識混濁
  • 0.41〜0.5%1升以上
    昏睡尿便失禁呼吸抑制死亡

肝臓の働きは人によって異なり、アルコール処理能力にはかなりの個人差があります。強い人は、弱い人の1.5〜2倍だろうと言われています。処理能力の強い人は、アルコールがどんどん処理されるので、当然脳に行くアルコールは少ないわけです。処理能力の弱い人は、少量の飲酒でも、アルコールが体中に巡ってしまうということになります。
また、脳のアルコール感受性にも酩酊の度合いが関係し、同量のアルコールでも脳が鈍感であれば麻痺が起こりにくい、つまり酩酊が起こりにくいといった個人差が出てきます。

  1. 空腹の時は飲まない
    食べ物が胃の中にあると、それだけのアルコールの吸収の時間が遅れて、血液中のアルコール濃度は高くなりません。しかし、胃に何も無いと、アルコールは速やかに腸に入り、血液への吸収も早くなります。飲食の前に脂肪分の多い物を食べると、胃壁に脂肪の膜が出来てアルコールの吸収が遅くなります。早く酔わない一計です。

  2. 口当たりの良い飲みやすいお酒(日本酒やワイン、ウィスキーの水割りなど)は量が増えてしまうので注意する。
  3. 短時間に大量に飲まない。

『人生の友』とも言われるお酒と、長く上手につき合うためにも、結局は軽い酩酊、つまりほろ酔い加減にとどめることが上手な飲み方だと言えるでしょう。

鉄欠乏性貧血 脳卒中


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