症状 |
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■ | 痔核 いぼ痔と言われているもので、痔の中で最も多く、痔の半数を占めています。直腸、肛門付近の静脈が、便秘や妊娠などで負担がかかり、うっ血してこぶ状に膨らみます。直腸と肛門の境界線(歯状線)を境にして、直腸側に出来るものを「内痔核」、肛門側に出来るものを「外痔核」と言います。直腸には、痛みを感じる神経が無いので内痔核は痛みません。初期には、排便時、真っ赤な出血があり、ポタポタと、またはパーッと飛び散るように出ます。症状が進むと、肛門の外に痔核が脱出(脱肛)し、さらに進むと肛門から出たまま戻らなくなります。脱肛すると、通常、外痔核を伴い、外痔核の中に血栓(血の塊)が出来るとズキズキと痛みます。 | ■ | 裂肛 切れ痔と言われているもので、硬い便で肛門が切れて生じた外傷です。初期には、排便時、終わった後にジーンと痛みが残ります。出血は少なく、拭いた紙につく程度です。進行すると、傷が深くなり潰瘍となります。さらに炎症が肛門を囲む内括約筋に及ぶと肛門が狭いまま固くなってしまう「肛門狭窄」になり、便が細くなったり、出にくくなります。 | ■ | 痔瘻 下痢の時などに直腸と肛門の境にあるくぼみに大腸菌などの殺菌を含んだ便が入り込んで炎症を起こし、化膿して膿がたまり、「肛門周囲膿瘍(のうよう)」になります。さらに進行して、たまった膿が出る管が出来たものが痔瘻です。膿がたまると、肛門付近が腫れた感じになり、発熱し、寝ていられないほど痛みます。10年以上も放っておいた痔瘻の中には、まれにガン化するものもあります。 |
排便時に出血があっても『痔』であるとは限りません。大腸ガンや腸にポリープが出来ている可能性もあります。必ず検査で確かめることが大切です。 |
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治療 |
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痔の治療は、手術が必要と考えられがちですが、本当に手術の必要な人は全体の2割程度です。かなり進行した痔でも、日常生活に注意しながら坐薬や軟膏、内服薬を使って治療する保存療法が基本です。■ | 痔核 出血がひどい時は、痔核を固めて小さくする注射療法、脱肛している場合は、痔核の根元に輪ゴムをはめて徐々に締め付けて取るゴム輪結紮(けっさつ)療法を行うこともあります。どちらも外来で処置ができます。手術は、出血のために貧血がひどい場合や、脱肛を押し戻すなど後始末に時間がかかり生活に支障を来している場合などに行います。 | ■ | 裂肛 排便時の痛みがひどく、再発を繰り返す場合は、狭くなった肛門の周りの内括約筋の一部を切開します。さらに悪化して潰瘍やポリープができ、慢性化した場合は手術を行います。 | ■ | 痔瘻 肛門周囲膿瘍のうちは、外来で切開して膿を取り出し、抗生物質によって化膿を抑えます。膿の出口が出来て管になり、化膿を繰り返す場合には、手術を行います。 |
現在は、痔の手術方法も改良され、痛みも少なく、早く治るようになりました。 |
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予防 |
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■ | 下痢、便秘を防ぐ- 食物繊維の多いものを摂る
(野菜や果物など) - 朝食をしっかり摂る
また、起床時に冷たい水や牛乳を飲む - 便意を我慢しない
| ■ | 正しい排便を心がける- トイレに長居しない(3分以内)
- 便を完全に出し切ろうとしない
- トイレには便意があってから行く
| ■ | その他- 排便後は、温湯などで洗って肛門を清潔に保つ
シャワートイレなどで、肛門の周辺に付着した便のカスを洗い流し、水気は、紙や布を押し当てて(決してこすらない)取ります。 - 入浴を十分に行い、血行を良くする
- 長時間の同一姿勢を避ける
- アルコールや辛いものはほどほどに
- 重いものを持ったり、ゴルフのスイングでは激しい痛みを伴う急性症状を起こすことがあるので気を付ける。
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